国立大学法人神戸大学(学長:福田秀樹)とバンドー化学株式会社(本社:神戸市、社長:吉井満隆)は、
研究・技術の発展と社会への貢献を狙いとして、積極的かつ効果的な協力関係を構築することで合意し、本年
9月24日付けで「包括的な産学連携推進に関する協定書」を締結します。
【連携の経緯】
バンドー化学では、神戸医療産業都市計画に参画し医療産業分野における効率的な情報収集を推進するため、
医療関連事業の対応を本社事業所に集約し、新たな製品開発に取り組んでいます。その一環として自社の新技
術である「伸縮性導電エラストマー素材」について、神戸大学大学院システム情報学研究科にて電子回路設計
技術の指導を受けて、用途開発へ向けた基礎的検討を重ねてきました。
神戸大学は、保健学研究科、医学研究科、医学部附属病院等を通じて、地域の医療・福祉の発展に貢献して
きました。今般、バンドー化学の新技術の従来にない特長に注目し、障碍者・リハビリテーション医療現場に
おけるニーズに応えて新しい医療・福祉製品を共同開発し、臨床に適用することに合意しました。
両者は地理的にも密接な連携が可能であり、連携活動の効果を最大限にするために自然科学系(保健学・工
学・システム情報学等)に社会科学系(経済経営学)も含めた戦略的な協力関係を構築することが双方にとっ
てメリットがあると判断し、包括的連携協力を推進することで両者の合意が得られました。
【連携の目的と意義】
本協定により、神戸大学とバンドー化学が、積極的かつ効果的な研究・技術の交流を図り、両者が持つ知識・
技術を共有する機会を確保することによって両者の研究・技術の発展及び社会貢献に資することを目的とし、
この目的を達成するために連携活動を推進していきます。
神戸大学は、コミュニケーションやリハビリテーション分野において新しい技術を必要とする障碍者医療・
在宅医療の現場ニーズに応え、共同研究の成果を臨床に還元することによって社会に広く貢献したいと考えて
います。
バンドー化学は、神戸大学の幅広い研究・技術シーズ及び研究・教育設備と、長期的な成長戦略に必要とな
る技術ニーズをマッチングさせ、共同研究プロジェクトや人材育成プログラムを構築・推進することにより、
将来に有望な技術・製品の創出を図ります。
【連携活動の運営と具体的な内容】
連携活動の方向付け、レビュー等の運営方針などの協議・策定は両者の連携責任者を長とする連携協議会で
実施します。その下に各領域代表者を配置して共同目標の達成へ向けた連携活動を実施していきます。
今年度は、重度障碍児(者)コミュニケーション分野や呼吸器リハビリテーション分野等で、具体的な共同
研究テーマ等を選定、推進すると共に臨床応用に必要な基盤的研究を実施していく予定です。
神戸大学は、世界水準の優れた研究活動を行う大学の増強のための研究力強化大学に昨年指定されました。
教育、研究に次ぐ第三の使命として、社会貢献分野においても「グローバル・エクセレンス」の実現を目指し
ています。具体的には、世界的に卓越した研究成果の普及、多様なフィールドで活躍する指導的人材の育成、
高度先進医療の推進を通して世界と地域から高い評価を得ることを目標として掲げております。産学連携につ
いては、特に阪神地域を中心とした産業界との連携に注力しており、バンドー化学との連携は社会貢献に大き
く寄与すると考えられます。
バンドー化学は、昨年策定した中長期経営計画“Breakthroughs for the future”(未来への躍進)の中で、
「グローバル市場戦略の進化」や「環境・省エネ・高機能」をキーワードとした製品開発に重点を置いて取り
組んでいます。製品開発では、福祉・介護関連分野を重点市場の1つと位置付けており、自社のコア技術である
ゴム・エラストマーや樹脂の配合、分散、複合化技術に磨きをかけるとともに、これらのコア技術に新たな技術
を融合させることにより、新製品の創出を目指しています。その実現のためには、研究開発や生産技術の変革、
人材の育成などが急務であり、今般の神戸大学との包括連携を通して、幅広い分野でイノベーションの創成を
目指していきます。
*包括連携とは、大学と企業などが特定の目的の個別契約ではなく、ある目的の達成のために、研究開発から人
材教育・育成にいたるまで幅広く連携協力することをいう。大学と企業は共に連携に束縛されることなく、他
の大学や企業ともオープンな関係を続けることができる。
以上
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