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協働ロボットと産業用ロボットとの違いは? 人と協力して働くロボットのメリットとCO2排出量削減アイデア

人手不足や生産現場の高度化が進む中、「ロボットをどう活用するか」は企業にとって重要なテーマとなっています。そうしたなかで、特に製造業や物流現場で耳にするようになったのが、協働ロボットです。

「協働ロボットとは何か」「産業用ロボットと何が違うのか」を知りたいと考える方も多いのではないでしょうか。協働ロボットは産業用ロボットとは異なり、作業空間を分離することなく、人と同一空間でも協調しながら安心して作業を行うことができます。

この記事では、協働ロボットとは何かを整理したうえで、産業用ロボットとの違い、導入メリットや課題、さらにはCO2排出量削減につながる活用アイデアまでを分かりやすく解説します。

協働ロボットとは 産業ロボットとの違いは?

協働ロボット

協働ロボットとは、人と同じ作業空間で安全に協力しながら作業を行うことを前提に設計されたロボットです。
産業用ロボットの場合、安全柵の範囲内に作業空間を区切ることで人とロボットの作業空間を物理的に分離する必要がありました。協働ロボットであれば作業内容の変更や生産ラインの組み替えにも柔軟に対応できるため、多品種少量生産が求められる現場で注目されています。

●協働ロボットと産業用ロボットの違い

協働ロボット

ロボットは役割によって数種類に分類可能です。
産業用ロボットは主に工場で働くロボットで、高速・高精度な作業が得意です。溶接、塗装、組立など大量生産に向いており、安全確保のために柵で囲われるのが一般的です。
一方、協働ロボットは人と一緒に働くロボットで、力仕事や単純作業を担い、人の負担を軽減します。

両者の違いは、「安全性」「作業スピード」「柔軟性」といった観点で整理できます。

・安全性
産業用ロボットは高速で動くため安全柵が必須ですが、協働ロボットは安全機能により柵なしでの運用が可能です。

・作業スピード
また産業用ロボットはスピード重視ですが、協働ロボットは人との共存を前提に、たいていは速度を抑えて動くよう設計されています。

・柔軟性
さらに設置のしやすさも違いの一つで、協働ロボットは比較的コンパクトなので導入や移設がしやすく、初期投資を抑えやすいという特長があります。

協働ロボット 産業用ロボット
安全性 安全柵なしの運用が可能 安全柵が必要
作業スピード 人に合わせた速度 高速
柔軟性 レイアウト変更に強い 設置後の柔軟性は低い

●サービスロボット

清掃ロボットや案内ロボットなど、工場外でも活躍し、人の生活や業務を支援することを目的としたロボットはサービスロボットと呼ばれます。協働ロボットは、産業用ロボットとサービスロボットの中間的な存在として位置づけられます。

協働ロボットが注目される理由と導入するメリット

協働ロボット

協働ロボットが注目される背景には、社会課題の変化があります。
働き方改革などによる慢性的な人手不足や長時間労働の是正に加え、多品種少量生産のニーズの増加や、脱炭素社会へのニーズの高まりが挙げられます。

こうした背景により、従来の産業用ロボットとは異なる考え方のロボットが求められるようになりました。とりわけ協働ロボットの採用にあたっては、「人の代わり」ではなく「人の相棒」として活用する視点が重視されています。

●協働ロボット導入のメリット

「相棒」として協働ロボットを導入することによる、主なメリットを挙げてみます。

・生産現場の柔軟性向上
協働ロボットはプログラム変更が比較的簡単で、製品切り替えなどの変化にも対応しやすいという特長があります。
これにより生産現場の柔軟性が高まり、急な受注変更に伴う製品生産の切替に対応しやすくなります。

・安全性の確保
協働ロボットは人と同じ空間で働くため、衝突検知や力制限などの安全機能が標準で備わっています。
一緒に働く作業者にとっては安心感が高まり、現場の心理的負担も軽減されます。

・導入・移設のしやすさ
協働ロボットは大規模な工事を伴わずに導入でき、レイアウト変更時の移設が容易です。
これはAGV(自動搬送車)※1 やAMR(自立走行搬送ロボット)※2 と組み合わせて活用する際にも大きなメリットになります。

※1 AGV(自動搬送車):床の磁気テープやガイドラインなど、あらかじめ決められたルートに沿って走る搬送ロボット
※2 AMR(自立走行搬送ロボット):センサーやカメラで周囲を見ながら、障害物を避けて最適なルートを自分で判断して走るロボット

協働ロボット導入にあたっての課題

協働ロボットの導入にはさまざまなメリットがあるものの、協働ロボットは万能ではありません。導入にあたっては事前にロボットの特長を知り、課題を理解しておくことが重要です。

●作業スピードの限界

協働ロボットは人と同じ空間で動くため、動作速度に制限があります。
短時間で大量処理が求められるような工程では、産業用ロボットのほうが適している場合もあります。

●適した工程・適さない工程

協働ロボットはネジ締めや部品供給などの繰り返し作業には強い一方、重量物搬送や超高速処理には不向きです。
導入前には工程ごとの見極めが不可欠です。

●初期設計・教育の必要性

協働ロボット導入の効果を最大化するには、作業内容の見直しや動作設計、現場スタッフへの操作教育が必要です。
導入して終わりではなく、運用設計が成果を左右します。

これらの点を踏まえると、協働ロボットは人の作業をすべて置き換える存在ではなく、「人の負担を減らす相棒」として工程を支える用途に適しているといえます。

協働ロボットはCO2排出削減にも貢献できる

エンドエフェクタ交換装置

近年、モノ選びにおいて「環境への配慮」という視点が欠かせなくなっていますが、協働ロボットは省人化に役立つだけでなく、CO2排出量削減にも貢献します。

●待機電力を削減し効率的なエネルギー利用

協働ロボットは必要なときだけ稼働する仕組みにより、無駄な電力消費を抑制できます。

●不良品削減による資源ロスの抑止

ロボットの安定した作業品質は不良品の発生を抑え、材料やエネルギーの無駄を防ぎます。

●空調・照明エネルギーの最適化

協働ロボットを導入することで人の常駐が減り、工場全体の空調や照明設計を見直すことが可能になります。

●搬送距離の短縮による省エネ

レイアウトの自由度向上により、AGVやAMRなどの搬送ロボットと連携し、搬送距離を短縮することで省エネにつながります。
こうした省エネ効果をさらに高めるには、協働ロボット本体だけでなく、周辺機器の工夫も重要です。

また、1台のロボットが複数の作業をこなせるようになれば時間の短縮が可能になり、さらなる省エネが可能になりますが、それを実現するのが、ロボットアーム先端のツールを素早く交換する「エンドエフェクタ交換装置」です。

バンドー化学の子会社ビー・エル・オートテックが開発した協働ロボット用エンドエフェクタ交換装置「QUICK-CHANGE ATOM®」は、動力源不要のロック機能を採用しており、よりエネルギー使用を抑えることでCO2排出量削減に貢献します。

エンドエフェクタ交換装置

まとめ

協働ロボットは、人と同じ空間で安全に働く「相棒」として、人手不足や生産の柔軟性向上に貢献します。産業用ロボットとの違いを理解し、適した工程に導入することで、生産性と安全性の両立が可能です。
センサ技術や制御技術、周辺機器の進化により、協働ロボットはさらに使いやすく、安全で、環境に優しい存在へと進化しています。省エネ設計や不良品削減を通じてCO2排出量削減にも貢献できるロボットであり、技術進化とともに、協働ロボットは持続可能な社会を支える重要な存在となっていくに違いありません。

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監修:でぃすかばーBANDO編集部

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