トップメッセージ

- 120年を支えてきた「人」の力
- 2026年4月、当社は創業120周年を迎えることができました。この節目にあたり、私たちが120年歩んでこられた理由」をあらためて振り返りました。1906年に神戸の地で創業して以来、日本初、世界初を追求し続け、各種ベルト製品やフイルム製品をはじめ、近年では電子材料や医療機器など、主要となる産業のニーズに絶えず応えながら、社会に貢献する新たな価値を提供し続けてまいりました。この歩みを支えてきたのは、各部門で仕事に携わる「人」の力であると考えております。
- 当社はこれまで、製造・技術・営業・管理の各部門がそれぞれの役割を全うし、相互に連携しながら価値を創出してまいりました。製造部門においては、お客様にとっての安全・安心と品質を最優先に、愚直にものづくりに向き合ってまいりました。問題を発見し、皆で考え改善を積み重ねる取り組みを通じて、人材が育成され、現場力が着実に高まっていく、こうした「ものづくりは人づくり」という思想を実践し続けております。技術部門においては、産業構造が大きく変化する局面においても、技術者一人ひとりが新たなニーズと真摯に向き合い、革新的な技術を世に問い続けることで、お客様の信頼に応えてまいりました。営業部門においては、お客様の現場に足を運び、お客様目線でニーズを的確に捉えながら、市場の最前線に立ち、時代の変化を先取りする活動を続けてまいりました。そして、これらの活動を支え、各部門が最大限の力を発揮できる環境を整えてきたのが、管理部門であります。こうした4つの部門の強みが有機的にかみ合い、相乗効果を生み出してきたことこそが、当社の持続的な成長の原動力であり、120年という長きにわたる歩みを支えてきた根幹であると考えております。そこには、当社の経営理念である「調和と誠実の精神」が脈々と息づいております。今後もこの精神を大切にしながら、社会の変化に柔軟に対応し、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
- リスクと機会を捉えた事業ポートフォリオ変革
- 当社グループを取り巻く外部環境は、自然災害の頻発や地政学的リスクの高まりなど、かつてないほど不確実性が増しています。先行きの見通しが難しい時代において、企業が持続的に成長していくためには、想定されるリスクを可能な限り最小化し、平時から着実に備えを講じておくことが不可欠です。同時に、日々変化する状況に迅速に対応できる柔軟性と機動力も求められます。「この局面で何が最善か」を常に問い続け、社内外の知見を集結しながら、的確かつ迅速な意思決定を行ってまいります。
- 外部環境の変化を踏まえた事業継続とポートフォリオ変革という観点では、例えば自動車のEV化に伴う内燃機関を使用した自動車市場の縮小という事業環境の変化に対応可能な販売・生産体制の構築を進めてまいりました。これにより、2025年3月にはBando USA, Inc.における生産を終了し、他の地域で補完する体制へと移行いたしました。一方で、EV化という市場トレンドの変化を新たな成長機会として捉え、中長期的な視点のもと、事業ポートフォリオの最適化に引き続き取り組んでまいります。
- サステナビリティと価値創造
- サステナビリティは、当社グループの持続的成長の基盤であると同時に、事業活動を通じて社会にどのように貢献していくかという重要なテーマです。当社は「人と社会を支え、今と未来をつなぐBEST PARTNER」という「ビジョン2050」の実現に向け、サステナビリティを成長戦略の基軸と位置づけております。現在推進している中期経営計画 “Creating New Value for the Future” 1st stage(以下、CV-1)においては特定したマテリアリティに基づく「サステナビリティ活動テーマ」を各施策と連動させることで、持続的な企業価値向上に向けた基盤強化を着実に進めております。具体的には、環境配慮型製品の自社ブランド「eco moving」製品の開発、高齢化社会を背景に需要が拡大する医療機器・ヘルスケア機器分野への取り組みなど、環境や社会課題の解決に貢献する製品・サービスを通じた価値創造を続けていくことが、「ビジョン2050」の実現につながるものと確信しております。
- 当社グループのサステナビリティ活動は、サステナビリティ委員会を中心に、全社横断で推進しております。2025年度には、2017年度にマテリアリティを特定して以降の社会環境の変化を踏まえ、その見直しに向けた検討を開始しました。
- 「共創」を軸とした進化と深化
- 2025年度で3年目を迎えたCV-1の指針のひとつである「価値創造」では、「共創」を軸とした新規事業の進化とコア事業の深化を掲げております。新規事業の進化においては、屋外用放射冷却フイルム「Silver Arrow®」を開発し、2025年7月からテスト販売を開始いたしました。当社独自のフイルム加工技術に省エネルギーという付加価値を加えることで、環境負荷低減に貢献いたします。このほか、電子機器等の高性能化を支える放熱グリース「HEATEX®TG900シリーズ」の販売開始や、嚥下運動モニタ「B4S™」が介護テクノロジー利用の重点分野「食事・栄養管理支援」に該当する機器に選定されるなど、社会的ニーズの高い分野での取り組みも着実に前進しております。
- コア事業の深化では、低騒音性・横剛性に優れた物流搬送用ベルト「ミスターProキャリー®」の販売を2025年10月に開始いたしましたほか、2024年に販売を開始いたしました、世界初となるセルロースナノファイバー複合化ゴムを適用した高負荷対応ダブルコグベルトなどが市場から高い評価を得ております。CV-1最終年度となる2026年度は、これらの取り組みをさらに加速させ、より高い次元での価値創造を実現してまいります。
- 人の力を引き出す組織づくり
- 当社は、事業環境の変化や新しい価値創出に対応するために、2026年4月から新しい人事評価制度を導入いたしました。近年、働く人の価値観は多様化し、「社会への貢献実感」や「公正な評価」に対する意識が一層高まっております。これらを踏まえ、新制度では従業員の主体的な挑戦を促すとともに、相互承認・称賛を通じて共創を促進する組織風土の醸成を目指しております。制度導入にあたっては、各拠点での丁寧な対話を重ねることで、納得感を持った形での定着を図ってまいりました。今後も人の力を最大限に引き出す経営を進めてまいります。
- 「サステナビリティ活動テーマ」
- 2025年度および足元の取り組み
運用8年目となった「サステナビリティ活動テーマ」について、2025年度は各テーマにおいて様々な進捗がありました。 - 【製品・サービス】
2025年度の当社上市製品に占める環境対応製品の割合は63%となり、目標(当社単体50%以上)を達成することができました。また、昨年度から算定を開始したCO2削減貢献量は、2025年度において71,075t-CO2となりました。これは、当社グループのSCOPE1・SCOPE2におけるCO2排出量の約87%に相当しており、事業活動を通じたCO2排出量削減への貢献を示すものです。 - 【環境】
当社グループは、2050年までにCO2排出量を実質ゼロにするカーボンニュートラルの実現に向けて取り組んでおります。この取り組みの一環として、ベトナム子会社に太陽光発電システムを導入し、2026年4月から稼働を開始いたしました。
また、2033年までにCO2排出量を2023年度比で42%削減する新たなグループ目標を2026年5月に設定いたしました。この目標の達成に向けて、当社グループ各社と連携しながら、太陽光発電システムの導入や高効率設備への更新、エネルギーロスの削減などの取り組みを着実に推進してまいります。 - 【労働・安全】
受動喫煙防止対策として、国内事業所および国内関係会社を対象に、2025年4月から就業時間内を禁煙としたうえで、2028年4月からは敷地内全面禁煙とすることといたしました。また、当社の健康経営に関する取り組みが評価され、2026年3月に「健康経営優良法人2026(大規模法人部門)」に認定されました。さらに、エンゲージメント向上の施策として、従業員同士のコミュニケーションを促進する社内ポータルアプリ「BANDO+」の運用を開始するなど、働きやすく活力ある職場づくりに取り組んでおります。 - 【コンプライアンス・人権】
当社グループでは、全従業員を対象に動画を活用した人権教育を実施し、人権尊重の意識向上に継続的に取り組んでおります。また、サプライチェーン全体における人権への配慮の観点から、取引先を遡った調査を行い、加工工場などの現地視察を通じてリスクの有無を確認いたしました。加えて、2026年1月に施行された中小受託取引適正化法への対応を進めるなど、法令遵守の徹底と公正・透明な取引の確保に努めております。 - 【ステークホルダーコミュニケーション】
当社は、神戸市の「こうべ木陰プロジェクト」への参加や植樹活動への寄付など、環境保全に対する取り組みを推進しております。また、ネーミングライツを取得しているバンドー神戸青少年科学館の第2期リニューアルにおいて企業展示を行うなど、次世代育成や科学教育の支援にも取り組んでおります。これらの活動を通じて、当社は持続的に価値を提供し続けることで、ステークホルダーの皆様のご期待にお応えするとともに、その信頼に応え続けていくことが重要であると考えております。
当社には、「調和と誠実の精神」のもと、絶えず自己変革を続けてきた歴史があります。120年にわたる歩みに誇りを持ちながらも、現状に安住することなく、次の時代を切り拓く挑戦を続けてまいります。ものづくり企業として産業を支え、日本社会の発展に貢献していく。その強い使命感のもと、全社一丸となってCV-1最終年度の取り組みを着実に推進してまいります。
ステークホルダーの皆様におかれましては、今後ともご理解とご支援を賜りますようお願い申しあげます。
2026年8月
バンドー化学株式会社 代表取締役社長













