サステナビリティ

トップメッセージ

今後も様々なモノやサービスをつなぎ、社会を支え続けることで、当社ならではのサステナビリティを実現していきます。
1906年の創業当時から事業を通じて様々なモノやサービスをつなぎ、幅広い産業と人々の暮らしを支え、社会の発展に貢献してきた当社グループは、このたび、新しい長期ビジョン(ビジョン2050)
「人と社会を支え、今と未来をつなぐBEST PARTNER 」を策定しました。
当社グループは、人の暮らしや地球環境にやさしい社会課題を解決する製品やサービスを持続的に提供し、人や社会にとってなくてはならないベストパートナーとして、2050年を見据えた未来社会の実現につなぐ存在であり続けます。
サステナビリティへの取り組みを経営課題の中核に据えることで、
持続的な企業価値向上を目指す
私は昨年4月の社長就任にあたり、今後の当社グループが長期的に目指すべき方向性について、当時の経営陣と徹底的に話し合いました。議論を重ねる中で確認できたのは、当社グループは過去100年以上にわたり、事業領域や主力製品の変革を繰り返しながら時代の転換期を乗り越えてきたこと。その中で産業や人々を「つなぐ」「支える」役割を一貫して担い続け、独自の価値創造を実践してきたということです。そして未来社会でも、そうした当社グループならではの価値創造を産業のイノベーションにつなげ、持続的成長を実現していくことを改めて決意しました。この決意を言葉として具現化したのが前述の新しい長期ビジョン(以下、ビジョン2050)であり、そこからバックキャストしたうえで策定したのが中長期経営計画「Creating New Value for the Future」です。
また、足元で事業環境が大きく変化し続ける中、経営理念にいま一度立ち戻り、ビジョン2050の実現に当社グループ一丸となって邁進するために、Mission/Vision/Valueを体系化しました。
そして、2023年度から2026年度までを中期経営計画「Creating New Value for the Future 1st stage」(以下、CV-1)とし、サステナビリティへの取り組みを経営課題の中核の一つとして推進し、「価値創造(共創×新規事業×コア事業)」「スマートものづくり創造」「未来に向けた組織能⼒の進化」の3つの指針にフォーカスすることで、当社グループの持続的な企業価値向上につなげていきます。
「CV-1」3つの指針の注力ポイント
指針1「価値創造(共創×新規事業×コア事業)」においては、前中計からの「両利きの経営」をグローバルで加速することで、最適な事業ポートフォリオを構築していきます。具体的には外部との共創をさらに強化し、新規事業とコア事業分野における共創を推進し、新たな価値創造に取り組むほか、新規事業の成長による事業ポートフォリオの転換にも注力します。コア事業では成長市場や未開拓市場への投資を拡大し、キャッシュ創出の最大化を図ってまいります。
指針2「スマートものづくり創造」では、当社グループが長年蓄積してきた現場力とデジタル化を組み合わせることで、競争力のある品質と⽣産性を創造していきます。地球環境と⼈にやさしい「バンドー夢工場」の実現に向けた「ものづくり」の基礎を2030年までに構築することを目指します。その布石として、安全・安心のもとで力を発揮できる職場を構築すべく、全従業員の安全プロフェッショナル化や設備の安全確保に注力します。そして、カーボンニュートラルの実現に向けて、再生可能エネルギーへの置き換えや環境負荷物質の排出削減に注力します。また、こうした安全・安心で地球環境にやさしいものづくりを効率良く進めるための手段としてデジタル技術を活用し、人に頼らない自律ラインの構築を目指します。これら一連の取り組みを⾼い品質と稼ぐ⼒の創出につなげられるカーボンニュートラルを考慮した「スマートものづくり創造」を進めていきます。
指針3「未来に向けた組織能⼒の進化」においては、重点施策をマテリアリティにおける「サステナビリティ活動テーマ」と密接に連携させることで、サステナビリティ活動をCV-1における成長戦略として推進していきます。具体的には、グローバルな組織ガバナンスの再構築に向けて販売拡⼤と業務効率化を図っていきます。また、エンゲージメントの向上に向けた働きがい改⾰により、⼈材を惹きつける魅⼒的な組織の実現を目指します。そして、気候変動リスクにも真正面から向き合い、脱炭素社会や省エネに寄与する製品の開発・拡販を加速するほか、ものづくりの⾰新を進めることで、社会の発展に貢献していきます。
私は、これら一連の取り組みを通じ、当社グループの製品・サービスがいかに社会や環境と調和しながら課題を解決し、人々の暮らしや地球環境にやさしい社会に貢献しているかを全ての従業員に実感して欲しいと考えています。そのためにも、私自身、可能な限り現場に足を運び、従業員をはじめとするステークホルダーの皆様とも対話を重ね、当社グループの企業価値向上と持続的成長を牽引していく所存です。
「サステナビリティ活動テーマ」
2022年度および足元の取り組み
「CSR推進テーマ」の運用5年目となった2022年度は、各テーマにおいて様々な進捗がありました。また、新中期経営計画のスタートに合わせ、名称を「サステナビリティ活動テーマ」に改めました。
【製品・サービス】
和歌山工場の産業用歯付ゴムベルト革新ラインで、量産に向けた取り組みを進めました。また、「環境対応製品(当社独自基準)」拡充の取り組みでは、生産工程で生じる廃棄ロスを低減した自動車用補機駆動ベルトや、有害物質を削減した光学用透明粘着剤シート等を2022年度「環境対応製品」として認定しました。しかしながら、2022年度上市新製品における「環境対応製品」の割合は15%となり、目標である「50%」は未達となりました。
【環境】
2030年までに燃料使用および電力に由来するCO2排出量を2013年度比38%削減する目標(当社単体)の達成に向けて、太陽光発電システムを導入しました。インド子会社での新設や和歌山工場での増設などにより、両拠点合計で年間約478トンのCO2排出量削減を見込んでいます。また、本社事業所照明設備のLED化を完了したほか、TCFDに沿った開示に向けた準備を進めました。今後重要性が高まる生物多様性への取り組みでは、加古川工場でのフジバカマの栽培や、新入社員研修における里山の生態系を守る有機農業体験など、各拠点での活動を拡充していきます。
【労働・安全】
当社グループは従前から、従業員の安全を何よりも優先し、危険予知の徹底とルール遵守の教育を実施してまいりましたが、2021年に2件の重大災害が発生したことを受け、グループ全従業員の安全意識をさらに高める活動に注力しています。具体的には、災害が起きた拠点に私自らが赴き安全への啓発活動を実施しているほか、高頻度かつ高水準のリスクアセスメントを継続しています。また、危険予知活動の一環として現場の作業者の声を吸い上げる仕組みを導入したほか、個々の安全意識をさらに高めるため、全従業員に「基本行動カード(安全の誓)」を配布し、毎日の作業前に読み上げて基本行動を徹底する習慣を根付かせています。今後も、安全への取り組みでは決して妥協を許さず、経営の最優先事項として注力していきます。
人的資本への投資においては、コロナ禍が収束方向にあることを受け集合研修の多くを復活させたほか、教育プログラムも拡充し、1⼈当たり年間研修時間や参加人数は増加傾向にあります。今後もCV-1の重点方針「エンゲージメントの向上」と密接に連携させながら、重要な経営課題として従業員施策に注力していきます。
【コンプライアンス・人権】
2022年度は、前年度に引き続き国内外でのサプライヤーアセスメントを実施するとともに、人権への意識が世界的に高まっていることを念頭に、当社グループの人権方針を4月1日に策定しました。
【ステークホルダーコミュニケーション】
ネーミングライツを取得しているバンドー神戸青少年科学館(神戸市立青少年科学館)では、展示室のリニューアルが行われたほか、同館で行われた「ポートアイランドサイエンスフェスティバル」に出展し、C-STRETCH®を用いたデモンストレーションを行いました。また、加古川工場など複数の事業所でフードドライブ活動を通じて地元のフードバンクへの寄付を実施しました。海外では、トルコ南部を震源とする地震に対する義援金を寄付したほか、ドイツ子会社で孤児支援団体への寄付を行うなど、国内外のコミュニティで地域に密着した取り組みを行っています。

当社グループは今後も、社会や環境と調和しながらサステナビリティを追求し、持続的な企業価値向上を実現していきます。

ステークホルダーの皆様におかれましては、今後とも、ご理解とご支援を賜りますようお願い申しあげます。

2023年8月

バンドー化学株式会社 代表取締役社長

バンドー化学株式会社 代表取締役社長 植野富夫