新規事業とコア事業の両輪経営を継続し、
当社グループが長年の事業活動で培った技術とニーズを組み合わせることで、
社会課題の解決に向けた価値創造への取り組みを加速させています。
ウィルティア®シート―グループ内の「共創」で不可能を可能に―
国内の土木業界は、慢性的な人材不足や高齢化といった課題を抱えており、施工品質の維持・向上、環境配慮とともに、施工作業のなお一層の効率化が求められています。撥水性と透水性を併せ持つコンクリート型枠用「ウィルティア®シート」をコンクリート型枠工事で用いることで、コンクリート打設時に発生する表面気泡の抑制によるコンクリート品質向上、繰り返し使用できることによる省資源化、さらには微粘着加工による施工性向上が期待できます。また、製品プロモーションに際しては、バンド―・I・C・S株式会社が持つ建設業界のネットワークを活用するなど、グループ会社との共創も進めています。今後も社内外での共創に取り組み、社会課題の解決に資する新たな製品化に邁進します。
吸収性骨再生用材料―アカデミアとの「共創」で、治療時間短縮に挑戦―
2023年4月にグループ会社の株式会社Aimedic MMTから販売開始した吸収性骨再生用材料は、産学連携に加え、当社の有する基盤技術を活かして開発しました。本製品は、プラズマ技術によって人工骨の表面にアミノ基の構成成分である窒素を修飾します。従来の人工骨と異なり、体内に埋植後に骨形成を促進する作用が期待でき、2023年末までに約1,400例の骨移植手術で使用されました。超高齢化が加速する日本では治療期間の短縮が喫緊の課題であり、この骨形成促進作用によって早期の骨癒合、早い段階でのリハビリ開始、歩行能力回復によるADL※1の改善やQOL※2の向上、就労復帰までの期間短縮のほか、医療関係者および家族の介護負担軽減、医療費全体のコスト削減といった社会的価値の創出が期待されています。
※1 日常生活動作(Activities of Daily Living)
※2 生活の質(Quality of Life)
高負荷対応ダブルコグベルト―お客様、研究機関との「共創」で価値創造領域を拡大―
近年、大型バギー・大型スクーター等の高排気量化・高出力化が進み、お客様が伝動ベルトに求める品質水準が高まっていることを踏まえ、2024年4月、世界で初めて※セルロースナノファイバー(CNF)複合化ゴムを適用し高負荷対応が可能な「ダブルコグベルト」の販売を始めました。CNFは鋼鉄の5分の1の軽さで5倍以上の強度を有する最先端のバイオマスナノ繊維素材です。当社では、こうしたCNFの特長を活かすナノ分散技術の開発を経てゴムの補強材料としての複合化に成功し、従来のカーボンブラック補強ゴムに比べ「伝動能力の向上」「伝動効率の改善」「低発熱性による長寿命化」を実現しました。このような性能を通じて、ベルトの幅狭化による原材料の削減や低燃費・省エネルギー化によるCO2排出量削減に貢献していきます。なお、CNFを用いた伝動ベルトの実用量産化においては、化学品メーカーである東ソー株式会社と連携して実施した、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業「炭素循環社会に貢献するセルロースナノファイバー関連技術開発/研究開発項目〔1〕革新的CNF製造技術の開発」の成果を一部活用しています。
※セルロースナノファイバーを用いた伝動ベルトとして世界初(当社調べ)